無題

あのとき

 

どうすれば正しかったのか

 

今はもうわからない

 

ただ

 

思い出しては

 

失ったひとりを惜しみ

 

あのとき

 

どうすれば正しかったのか

 

今も馳せる

 

 

衣擦れの音響かせては

 

白い海を逃げ惑い

 

この先の身の振り方を思い巡らせたのに

 

唇は堕ち

 

ただ預けるがままに委ねた

 

 

 

貴方を欲しているのに

 

濡れた花肉を穿とうとする欲望は

 

ふたりの行く先を教えてはくれず

 

わたしは怖くなった

 

 

受け入れていいの?

 

この先どうなるの?

 

愛してくれるの?

 

どうするのが正しいの?

 

わたしには

 

貴方の愛だけが答えだった

 

 

果肉は渇き朽ち

 

貴方は苦い顔をした

愛体

会いたいと

 

それを伝えることが重荷になるのが怖い

 

心を奮って

 

素振りを隠して

 

細胞の隙間にまで入り込む貴方の影を

 

言葉と指先で押し留めて

 

何もないふりをする

 

 

どうして会いたいの

 

会ってどうするの

 

 

確かめたい

 

抱きしめたい

 

貴方は何も言わない

 

ただ春の嵐のように

 

わたしの心を乱して

 

掴みどころも与えてくれない

 

 

会ってどうするの

 

抱きしめたい

 

 

ただ

 

言葉なく

 

確かめたい

 

愛を

 

この体で

無償の愛(再掲)

無償の愛なんてない。


血の繋がりのない相手への愛情は見返りを求める愛だ。


それは奉仕でなく交渉にすぎないと。

 

ただ愛してほしいだけの愛は


見返りというような言葉で片付けられてしまうほどのエゴなんでしょうか。

 

無欲では淘汰されそうで怖いです。

愛と鞭(再掲)

叱ってください。私を。


はしたないのはわかっています。

だから叱ってください。

 


その中から少しの愛を汲み取れるように。

 


目に見えなくて構いません。


私を叱っているとき


貴方は私しか見ていないのです。


だから耐えられます。

体温(再掲) 改

私の傍にいる人は誰ですか。


私の隣にいる人は誰ですか。

 


もしいつか私の目が潰れたら


私は貴方を膚で感じ取ることができますか。

 


そんなに特別でなくてもいいのです。


貴方が私を欲してくれたら。

 

 


たとえ私の目が潰れたとしても


私はきっとこの目を失ったことさえ幸福せに想うと思うのです。

声(再掲・改題)

今日も鳴る着信音。


私を快楽へ強制連行。


他愛ない着信音。

 


貴方だけではないと


自分を躱しながら


貴方だけですと


電波を繋いで

 


声だけの逢瀬は


私ばかり達して止まず。

 

 

狡いです。


私も貴方の声が聞きたいのです。

私の子宮で果てて居ると


妄想だけで達する貴方の頂きを知りたいのです。